映画監督・木村大作
執念で完成させた映画
「劔岳 点の記」という映画についてのコラムを載せています。筆者もこの映画を観ました。見事な作品でした。明治末期、国防のために全国の地図を完成させるため、未完であった劔岳の地図を完成せるように陸軍参謀より、測量部に命令が下りました。その命を受けた測量部の技師が主人公でした、そして劔岳の案内人がもう一人の主人公でした。それぞれ浅野忠信と賀川照之が演じてました。彼ら二人と同行する測量部員や案内人たち、それに当時発足したばかりの小島烏水をリーダーとする日本山岳会との劔岳登頂への先陣争いが描写されます。しかしこの作品の中心は劔岳を中心とする山岳の自然描写です。越前の山脈から富士山遠望のシーンの素晴らしさ、雪崩の恐怖、暴雪での迷いなど大自然の猛威に襲われる怖さも描いてました。尾根の歩く測量隊の俯瞰シーンの美しさ、頭上を流れる雲の影が隊員の一行に当たっていく自然描写、まさに木村大作が執念で映画化したいと願ったその厳しくも、美しい山岳の自然を2時間19分にまとめたその才覚はとても70歳を超えた人とは思えぬエネルギーを感じました。黒澤明の晩年の作品は枯れていましたが、木村はエネルギッシュでした。、その演出において小細工せず、大自然と人間を見事に描きました。おそらく今年の日本映画ベスト10の上位に入るであろう秀作です。
『コラム歳時記』 2009年8号43頁に記事転載
【編集部.T】







