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2009年10月08日

松塚さん

ひとアイコン 塗り絵でリハビリ

「人間をやめるにはどうしたらいい?」

秋田県の介護福祉施設にいた利用者の一人、松塚さんはこんな言葉を口にしていたそうです。

全身の筋力が低下し、介助なしでは食事も出来なかったのです。

そんな彼女が一人でスプーンを持ち、食べるまでに元気になったのにはある理由があったそうです。

ある日、施設の職員が松塚さんと昔の話をしていところ「4Bの鉛筆」という言葉を耳にしました。

芯がやわらかく、デッサンなどの絵画描写に適している鉛筆であることに目をつけました。

美術が好きでなくては、「4Bの鉛筆」なんて言葉は出てこないと推測し、早速単純な黒のイラストをコピーして手渡したところきれいに色を塗って仕上げたそうです。

松塚さんは、小学校時代の夏休みに夢中で描いた絵や書道が忘れられずにいたといいます。

その後、鉛筆を持つことで、筆圧が向上し、自分自身での食事ができるまでに回復したのです。

塗り絵というと、私の祖母も大好きです。

以前、塗り絵の本をプレゼントすると、すぐに一冊を塗り終え(早くて美しい!)得意気に見せてくれました。

昔、美術学校に通っていたこともあったからでしょう。

「何冊でも塗るわ」と、とても嬉しそうに言っていました。

実は、祖父も美術学校に通い、水墨画の先生をしていました。

現在、デイケアに通う祖父ですが、だからといって祖母のように塗り絵や絵画を進んで行うことはしません。

パーキンソン病で思う通りに動かない手、大先生の自分がこんな所で…という思いもあるのでしょうか。

さまざまなリハビリ方法や新しい療法はありますが、松塚さん、祖父母の例も合わせて考えると、やはり、一人ひとりに耳と心を傾けることがとても大切な気がします。

さて、祖父の笑顔の源は何か、耳と心を傾け、また少し探ってみようと思っています。

切抜き速報 高齢福祉編』 2009年9号65頁に記事転載

【編集部.K】


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