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2008年07月29日

●才人・和田誠の本領発揮の本

古書店で探していた和田誠の「倫敦巴里」(話の特集社)を見つけ、買いました。

先に、丸谷才一の書評集「蝶々は誰からの手紙」(マガジンハウス)を取り上げましたが、その中に和田誠の著作で読んで欲しい3点が挙げられていました。「時間旅行」(メディアファクトリー)を最初の1点にあげてましたが、他の2点の中には、この「倫敦巴里」は入ってなかったのです。しかし、その文中に、一番和田誠らしい1冊としてこの「倫敦巴里」があると書いてました。イラストレイター和田誠、いえパロディスト和田誠の実力がいかんなく発揮された本であるとして激賞していました、なのに何故とりあげないのかは、本書が絶版になっているからでした。

パロディとして有名画家の画風もそっくりに、ビートルズの面々をゴッホ風、シャガール風、ルネ・マグリット風など実にそっくりに描いていたのです。のみならず、川端康成の「雪国」の冒頭の文章を、川端本人の文以外に、吉行淳之介、野坂昭如、谷川俊太郎、司馬遼太郎、渡辺純一、田辺聖子、庄司薫などの文体で「雪国」の文を書いているのには驚き以外なにものでもありませんでした。まさに才人・和田誠の本領でした。丸谷は明治の皮肉とユーモアで一世を風靡した斎藤緑雨が現存していたら、和田誠のような存在になるだろうと絶賛にちかい誉め方をしているのも、本書を見れば、その面白さに取り付かれること請け合いでしょう。人物画を描かせたら、その人物の本質を掴んだ容貌の描きかたの巧さ、その上、文章も上手く、読者を退屈させないサービス精神に満ちている書き手でもあります。丸谷の3点にこの「倫敦巴里」に加えて、筆者はもう1冊上げたく思います。「和田誠百貨店」(美術出版社)がそうです。大型本で「時間旅行」そして「倫敦巴里」に負けない和田誠美術の集大成の本として勧めることができます。

時間旅行
時間旅行 和田 誠


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倫敦巴里 (1977年)
倫敦巴里 (1977年) 和田 誠


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和田誠百貨店 (1978年)
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